和訳版Abstract | 大腸癌は、遺伝子の変化が多段階に蓄積して発生するheterogeneousな疾患で、様々なゲノム不安定性を背景としており、分子サブタイプの特徴づけとそれに基づいた治療方針の確立は、分子標的薬の適切な選択や治療成績の向上につながる。本邦でも、近年、がん遺伝子プロファイリング(CGP)検査が保険収載され、体細胞および生殖細胞系列バリアントに関する大量のゲノム情報へのアクセスが可能となった。これらを臨床における様々な意思決定に応用することで、患者やその家族の利益につながることが期待できる。本稿では、まず大腸癌のドライバー遺伝子とそれに関連するシグナル伝達経路について解説し、つぎに、次世代シーケンサーの出現により可能となったCGP検査や遺伝子発現プロファイル検査に基づいた大腸癌の分子サブタイプが確立される中、二次的所見/生殖細胞系列バリアントやPresumed Germline Pathogenic Variant (PGPV)の取扱いなどの様々な課題について解説する。 |
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