和訳版Abstract | 目的:歯周病の歯肉より分離されるフソバクテリウムは、近年、大腸癌のリスクであることが注目される。われわれは口腔内環境を反映する歯数が大腸癌患者の予後指標となるか検証した。 方法:単施設、後方視的に2015年から2017年までに根治を企図して大腸癌を切除された179人の患者を対象とした。術前に周術期口腔管理のために撮像されたパノラマ・デンタルX線で歯数をカウントし、抽出した患者背景とともに歯数別の生存解析を行った。 結果:平均歯数は20本(IQR:6-25)、うち28人がゼロであった。20本以上と20本未満の2群間の生存解析では前者で全生存率に優れ(p=0.002)、大腸癌死が少なかった(p=0.032)。両群間の背景で有意差を認めた因子を含めた多変量解析でも全生存率において有意差を認めたが(p=0.045)、大腸癌生存率では有意差を認めなかった(p=0.258)。重み付け傾向スコア解析では両群間の有意差は全生存率で0.032、大腸癌生存率で0.180であった。 結論:歯数は簡便かつほぼ侵襲なく評価でき、大腸癌切除患者において小さい歯数は全生存における予後不良因子であった。 |
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