和訳版Abstract | 目的 当院では,痔核のハイリスク症例に対して単純で確実な痔核切除術の確立が急務となっていた。 そこでlinear pinched hemorrhoidectomy(LPH)を考案し、従来の痔核切除術conventional hemorrhoidectomy(CH)と比較してその有効性について検討した。 対象と方法 Goligher分類のⅢ度およびⅣ度の痔核215例を対象とした。 これらのうち、167例がCH群、48例がLPH群であった。 入院期間、手術時間、出血量、合併症などについて後方視的に比較検討した。 結果 年齢はLPH群の方が高い傾向にあった(平均:CH 60歳、LPH 68歳)。 単変量解析では、LPHの方で切除数が多く、手術時間が短く、出血量が少なかった。 多変量解析では、LPHの方で手術時間が短く、出血量が少なく、抗凝固療法の使用頻度が高かった。 合併症については、両群間に有意差を認めなかった。術後に止血術を要する出血があったのは、CH群とLPH群でそれぞれ5例と2例であった。 CH群のみに肛門狭窄3例と創部浮腫を4例に認めた。 総括 超音波メスと円筒形肛門鏡を用いて単純化した痔核切除術について検討した。 合併症の少ない有用な術式であり、一般外科医にとっても習得しやすい手術手技であった。 今後は手術デバイスの進歩により、さらに安全で簡便な痔核切除術が可能になると考えれた。 |
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