和訳版Abstract | 【背景】 広範な後腹膜浸潤を伴う切除不能右側結腸癌は閉塞や穿孔・穿通を伴った場合、緊急で腫瘍一括切除および再建術を行う必要がある。しかし患者の全身状態や予後、QOLを考慮すると負担が大きく、より侵襲性の少ない緩和的手術が望ましい場合がある。 【対象と方法】 当院で後腹膜浸潤を伴う切除不能閉塞性右側結腸癌に対して右半結腸分離手術(回腸と横行結腸を切離・吻合し、腫瘍側の両切離端を皮膚瘻とする)を5症例に対して行ったので、後ろ向きに検討した。 【結果】 盲腸癌を3例、上行結腸癌を2例認め、全症例で穿通・後腹膜膿瘍を認めた。1例は腹腔鏡下に、残りは開腹下に施行した。術後在院日数は17.2日、術後絶食期間は3.2日であった。縫合不全を含めた術後合併症を認めず、4例は栄養状態改善後に化学療法を施行し、そのうち2例はその後根治的右半結腸切除を行った。 【考察】 右半結腸分離手術は根治的手術に比べ低侵襲であり、回腸ストマ造設術と比べ排液量が少なくQOLが保たれると考えた。腫瘍側への便の流れ込みも回避でき、切除不能右側結腸癌に対する緩和的手術として有用と考えた。 |
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