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Original Research Articles
Volume 5 Issue 3 Pages 306-312

A Study of the Right Colonic Vascular Anatomy: Correlations between Veins and Arteries

和訳版Abstract 目的
右側結腸の動静脈の相関関係に関して述べられている報告は非常に少ない。本研究では高解像度CT画像を用いて、胃結腸静脈幹(GCT)の分岐形態や、静脈と伴走する動脈を明らかにすることを目的とした。

方法
本研究は単施設後ろ向き観察研究である。2017年10月から2020年3月までの間に当院で右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術を施行した165例を対象とした。術前のCT画像からvolume rendering画像およびmultiplanar reformation画像を作成した。

結果
GCTが存在する症例139例について、ARCVに伴走する動脈は、MCA右枝が最も多くを占め71.2%であった。次いでRCAが19.4%(27/139)であり、伴走する動脈がない症例が9.4%であった。ARCVに伴走動脈がない症例ではRCAの存在率は15.4%だった。GCTが存在しない症例26例のうちRCVが存在する症例は15例あり、RCVに伴走する動脈はMCA右枝が66.6%、RCAが33.3%であった。

結語
右側結腸からのdrainage veinに伴走する動脈は、胃結腸静脈幹の有無にかかわらず、中結腸動脈右枝であることが約7割であった。右側結腸癌に対する手術の安全性と正確性を担保するためには、症例毎に術前に血管の分岐形態について検討が必要と考えられる。