和訳版Abstract | Crohn病を有さない34歳女性に、痔瘻に起因する肛門―Bartholin腺瘻を認めた稀な一例を経験した。患者は膿性肛門分泌および左外陰部疼痛を主訴に受診し、経肛門超音波および骨盤MRI検査により、肛門管から内外括約筋を貫きBartholin腺へ至る痔瘻を認めた。痔瘻に対しては括約筋温存術であるsphincter-preserving subcutaneous incision of the fistula tract and internal sphincterotomy(SIFT-IS)を施行し、Bartholin腺膿瘍に対しては切除を行わず、切開・排膿および掻爬により対処した。術後経過は良好で、排便機能および性機能に障害を残すことなく治癒が得られた。非Crohn病患者における女性生殖器への波及を伴う痔瘻は極めて稀であり、本症例はその診断および治療方針に関して示唆を与えるものと考えられる。 |
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