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Original Research Articles
Volume 3 Issue 1 Pages 36-42

Laparoscopic surgery for colovesical fistula associated with sigmoid colon diverticulitis: a review of 39 cases
(憩室炎によるS状結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡手術)

和訳版Abstract S状結腸膀胱瘻とは大腸憩室炎により、膀胱とS状結腸の間に瘻孔が形成される病態であり、食生活の欧米化や高齢化などから増加傾向にある。瘻孔が自然閉鎖することはなく、手術が唯一の治療法であるが、その難易度は通常のS状結腸癌手術よりも炎症の影響により高い。当科で施行した2006年から2017年までの39例について検討した。
【手技の要点】
①炎症が強い症例では左尿管損傷の予防のために左尿管ステントを挿入する。
②S状結腸と膀胱の間には膿瘍腔が必ず存在し、ここをしっかりと剥離する。
③膿瘍腔を正しく剥離・開放できれば、膀胱側の修復は不要である。
【結果】男性35例、女性が4例、年齢の中央値は60歳であった。手術時間の中央値は203分で、出血量は15mlで、全例術中合併症を認めず、また腹腔鏡からの開腹移行率は0%であった。術後フォローアップの中央値は5.1年で再発症例を認めなかった。
【結語】腹腔鏡の拡大視効果は結腸膀胱瘻をより精緻に描出し、正確な手術操作を可能とする。解剖を熟知し定型化された腹腔鏡手術はS状結腸膀胱瘻に対して有用である。