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Original Research Articles
Volume 4 Issue 3 Pages 114-121

Efficacy of Negative Pressure Wound Therapy Followed by Delayed Primary Closure for Abdominal Wounds in Patients with Lower Gastrointestinal Perforations: Multicenter Prospective Study
(下部消化管穿孔手術における創部に対する遷延一次縫合前の陰圧閉鎖療法の有用性
-多施設共同前向き試験-)

和訳版Abstract 【目的】下部消化管穿孔手術における汚染創に対する陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy: NPWT)の適応とその有効性については確立していない。本研究では、NPWTを遷延一次縫合(Delayed Primary Closure:DPC)に組み合わせ、SSI発生率からみたNPWTの有効性を検討した。

【対象と方法】2016年2月から2017年5月の期間で多施設共同前向き試験において下部消化管穿孔によるHinchey分類のステージⅡ相当以上の腹膜炎を発症し、下部消化管穿孔手術を受けた56症例を検討した。下部消化管穿孔後の腹部閉鎖創(筋層のみ閉鎖)に対してNPWTを行った後5-7日目にDPCを行った。

【結果】NPWT後に56例中5例がSSIを起こし、DPCに移行できなかった。DPCを行えた51例のうち44例(91%)には感染がなかった。DPCが行われた場合は7例(13.7%)のSSIの発生であった。ステージII,III,IVのSSI発生率はそれぞれ、0,22.6,35.7%で、創傷治癒までの期間は15 (10-36),19 (11-99),19 (10-53)日であった。いずれもステージ間で有意差は無かった。

【結論】下部消化管穿孔手術の創閉鎖においてDPCの前にNPWTを使用するとこれまで言われているより低いSSI発生率であり、従来のDPC単独に加えて有望な治療選択肢の1つになると思われた。