和訳版Abstract | エロビキシバットは高脂血症改善薬の探索において見出された化合物を基に構造展開された低分子化合物で,世界初の胆汁酸トランスポーター阻害作用を有する経口慢性便秘症治療薬である.今回,高齢慢性便秘症患者に対するエロビキシバットの有効性と安全性を後方視的に検討した.2018年4月から2019年3月に慢性便秘症に対して本剤を投与した249例のうち,65歳以上の150例を対象とした.本剤は1回2錠を1日1回食前に経口投与した.治療効果は便秘スコア(Constipation Scoring System: CSS)とブリストル便形状スコアで評価し,治療前と治療開始2週間後のデータを比較した.CSSの平均値 (SD)は,治療前の11.7 (4.5)から治療後は9.3 (5.2)に有意に改善した.CSSの各ドメインのうち排便困難,排便時間,排便補助の改善度が特に高かった.便形状スコアの平均値は2.5から3.4に有意に改善した.副作用は12%の症例に認められ,下痢(6.0%)と腹痛(5.3%)が多かった.重篤な副作用は認められず,副作用による治療中止は5.3%にみられた.エロビキシバットは高齢者においても忍容性が高く,便秘の諸症状の改善に有効であった. |
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