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Case Report
Volume 5 Issue 1 Pages 100-106

Alpha-fetoprotein-producing Colon Carcinoma with Rapidly Increasing Liver Metastases That Resulted in Death: A Case Report
(急速に肝転移増大により死亡に至ったAFP産生大腸癌の1例)

和訳版Abstract α-フェトプロテイン(AFP)は、肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍を検出するための腫瘍マーカーとして広く用いられている。近年、血清AFP値が上昇した消化管癌の症例が報告されているが、AFP産生大腸癌は他のAFP産生消化管癌に比べて希少であるとされている。
今回我々は、S状結腸癌と診断され、S状結腸切除術とリンパ節郭清を受けた47歳女性の1例を報告する。R0手術後に術後補助化学療法(AC)を施行した。7回目の化学療法後に多発性肝腫瘤と全身リンパ節腫大を認め、これらはS状結腸癌の多発肝転移と診断された.検査では血清AFP値が高値(14,657.8 ng/mL)であった。再発確認後、病状は急速に悪化し、術後8ヵ月で死亡した。剖検および病理組織学的所見では肝腫瘤はAFP陽性であったが,S状結腸癌の検体からはAFPを認めなかった。臨床経過や病理所見から、肝腫瘤は原発性胚細胞癌より、S状結腸癌の多発肝転移の可能性が高いと判断した。S状結腸癌の細胞が脱分化して急速に増大していったものと仮定し、AFP産生大腸癌とそれによる多発肝転移と診断した。AFP産生大腸癌に対して根治手術とACを行ったにもかかわらず、肝転移と全身リンパ節転移で死亡した。