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Practice Guidelines
Volume 5 Issue 1 Pages 67-83

Japanese Practice Guidelines for Fecal Incontinence Part 2-Examination and Conservative Treatment for Fecal Incontinence- English Version

和訳版Abstract 便失禁の検査の目的は、個々の患者の病態を把握することにある。単独で病態を完全に反映する検査は現時点ではないため、種々の検査を組み合わせて行う。便失禁の診療に用いられてきた検査法には、肛門内圧の測定、直腸や肛門の感覚検査、陰部神経伝導時間検査、筋電図、超音波検査、骨盤部のMRI、排便造影検査などがある。いずれの検査も患者には精神的、肉体的なストレスとなり得るため十分な配慮が必要である。便失禁に対する保存的治療法には、食事・生活・排便習慣指導、薬物療法、専門的治療がある。その主な目的は、便性の固形化、外肛門括約筋を含めた骨盤底筋の収縮力増強、直腸感覚の正常化、直腸や結腸の定期的空虚化である。食事・生活・排便習慣指導と薬物療法はある程度の知識と経験で施行可能であるので、排便障害を専門としない医療施設でも積極的に施行し、それでも便失禁症状が改善しない患者は専門施設に紹介することが望ましい。骨盤底筋訓練、バイオフィードバック療法、アナルプラグ、逆行性洗腸療法は、専門的な知識や経験に基づいた患者教育・指導が必要なため、排便障害専門施設で行われることが望ましい。