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Clinical Research
Volume 5 Issue 3 Pages 319-326

The Effect of Preoperative Oral Antibiotics in the Prevention of Surgical Site Infection after Laparoscopic Colorectal Cancer Surgery: A Propensity Score Matching Study

和訳版Abstract 【目的】術前機械的前処置(MBP)と経口抗菌薬投与(OA)の併用が大腸切除におけるSurgical Site Infection(SSI)の発生率を低減することは広く報告されている。本研究は特に腹腔鏡下大腸癌手術(LAP)におけるこれらの有用性を明らかとすることを目的とする。
【方法】2007-2019年の間に当院で大腸癌に対してLAPが施行された1080例を対象とした。当院ではOAを2018年に導入した。Propensity score matching(PSM)を用いて背景を均一化した上で、MBP、OA併用群(OA)とMBP単独群(non-OA)の2群に分けて、SSIの発生頻度を比較した。
【結果】全症例の内、128例に対してOAが施行された。全例で検討すると両群間にASA-PS、肝疾患、術前アルブミン値(Alb)に有意差を認めた。性別、年齢、body mass index、ASA-PS、糖尿病、肝疾患、Alb、腫瘍局在を共変量として、PSMを行った後、SSIの発生頻度の比較を行った。SSI発生に関連する因子に関して単変量解析を行ったところ、出血量100g以上、non-OA、術前治療が有意にSSI発生に関連しており、この3因子で多変量解析を行ったところ、出血量100g以上(HR: 3.238, p=0.031)、non-OA(HR: 2.547, p=0.033)が独立したSSI発生危険因子となった。
【結語】
LAPにおいて、OAとMBPの併用はMBP単独と比較して有意にSSIの発生率が低値であり、SSIの予防に関して有効な手法であると考えられた。