和訳版Abstract | 直腸脱は女性高齢者に多く、成因として骨盤内支持組織の脆弱化が挙げられる。本邦では全身状態不良の高齢者の場合、推奨される術式の一つとして、Gant-MiwaThiersch手術(GMT)がある。2005年から2021年に当院でGMTを受け、且つ、他疾患に対し腹部骨盤CT検査を行った12例について後方視的に分析し、直腸間膜に対するGMTの影響を検討した。 年齢中央値は82歳、女性の比率は92%、直腸脱の長さの中央値は5cm、観察期間中央値は60ヶ月、再発率は8%であった。術前および術後6ヶ月以上経ったCT検査では直腸間膜に異常はみられなかったが、術後5ヶ月以内にCT検査を行った3例全例に直腸間膜脂肪織濃度の上昇がみられた (100%; p<0.05)。GMTの再発率は低率で、手術効果の機序として、直接的な粘膜縫縮効果のみならず、直腸周囲に生じた炎症による直腸仙骨固定強化という機序が関与している可能性が考えられた。 |
---|