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Review Article
Volume 7 Issue 2 Pages 38-51

Recent Advances and Current Management for Desmoid Tumor Associated with Familial Adenomatous Polyposis

和訳版Abstract 約半世紀にわたり、デスモイド腫瘍(DT)は、家族性大腸腺腫症(FAP)患者の約10%~25%に発生する主要な併存疾患であり、大腸(亜)全摘術を受けている患者の死亡の主な原因と考えられてきた。近年、薬物療法の進歩により、死亡率は改善していると考えられる。DT発生の危険因子として、手術、APC遺伝子の3‘側の生殖細胞系病的バリアント、DTの家族歴、およびエストロゲンの関与が示唆されている。手術方法(腹腔鏡 vs. 開腹)および術式(回腸嚢肛門(管)吻合 vs.回腸直腸吻合)にはDT発生リスクに有意差がないことが報告されている。FAP関連DTの治療に関しては、FAP関連DTの約10%に認められる急速に増大する腹腔内DTに対して抗がん剤を導入することで制御することができうる。今後、散発性DTの治療に使用されている治療薬の効果も期待できることから、DTによる死亡率がさらに低下することが期待される。
本論文では、FAP関連DTの治療戦略に役立つと考えられる本邦から分類を含めFAP関連DTの最新の知見と治療の進歩について考察した。