和訳版Abstract | 目的:直腸癌術後の排尿障害は高頻度で起こるが、排尿障害が長期的に慢性腎臓病(CKD)を引き起こすかは知られていない。本研究は、直腸癌術後患者の長期的腎機能の推移およびCKDのリスク因子を明らかにすることを目的とした。 方法:2006年~2017年で、下部直腸癌患者129人と、比較対象として同期間の右側結腸癌患者127人を抽出した。術前eGFRを基準として比率を算出した。3年間でeGFRが25%以上低下することは、将来のCKDのマーカーとして知られている。 結果:eGFR比は、結腸群と比較して直腸群で有意に低下した(術後1.5年:0.9 vs. 0.95, p = 0.008、術後3年:0.85 vs. 0.94, p < 0.001)。術前のCKD罹患率は結腸群より直腸群で低かったが(13.9% vs. 23.6%, p = 0.055)、術後3年で同等となった(29.5% vs. 30.7%)。多変量解析で、女性とcT4が将来のCKDの独立したリスク因子であったが、排尿障害そのものはリスク因子でなかった。 結語:結腸切除術と比べ、直腸癌術後患者のeGFRは有意に低下した。術後3年で直腸群CKD罹患率は2倍以上となった。排尿障害ではなく、女性とcT4が将来のCKDの独立したリスク因子であった。 |
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