和訳版Abstract | 裂肛に対する従来の用手肛門拡張術は,効果が不安定で肛門失禁を起こす頻度が高かった.近年,拡張デバイスや拡張度を標準化したcontrolled anal dilation (CAD)が開発され,高い治癒率と安全性が報告されている.今回,最大肛門径を標準化したCADの成績を検討した.手術は仙骨硬膜外麻酔下で行った.肛門に両手示指を挿入して各方向に均等に,肛門径ゲージの目盛り6(直径35mm)を目標に拡張した. 2010年1月から2014年12月の間に523例にCADを施行した.肛門径の平均値は3.1から5.8に拡大した(p<0.001).術後1カ月で症状が改善しない9例(1.7%)のうち6例に追加のCADを施行した.肛門最大静止圧(mmHg)は術前の90.2から術後3カ月で79.7に低下した(p<0.001).術後合併症は11例(2.1%)に血栓性外痔核や皮垂の腫脹が認められ,そのうち3例に血栓切除術を行った.平均観察期間16.6カ月で肛門失禁を訴える患者はいなかった.3年および5年累積無再発率はそれぞれ87.9%,69.2%であった.CADは簡便かつ安全に施行でき,保存的治療が無効な慢性裂肛に有用な治療法と思われた. |
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