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Original Research Articles
Volume 7 Issue 4 Pages 264-272

Effects of Hyperbaric Oxygen Therapy for Clostridioides difficile-associated Colitis: A Retrospective Study

和訳版Abstract 【目的】Clostridioides difficile (CD)は嫌気性芽胞形成性グラム陽性桿菌であり,抗菌薬関連下痢症の主な原因である.高気圧酸素療法(Hyperbaric oxygen therapy;HBO)はClostridium perfringensに対する治療法として確立されているが、同じく嫌気性菌であるCDに対するHBOの有効性を検討した報告はない.【方法】 HBO療法がCD感染症 (CDI) の予後に影響を及ぼすかどうかを後方視的に検討した.対象は2013年1月から2022年12月の期間にCDIと診断された入院患者92例を対象とした.HBOが施行されていた症例は16例であった.HBO療法の適応疾患は脳卒中5例,イレウス4例,がん2例,急性末梢循環障害2例,その他3例であった.平均観察期間は5.4年であった.【結果】単変量解析では,HBO療法を受けた患者と受けなかった患者で,重症度,死亡率,入院日数,全生存期間に有意差はなかった.しかし,HBO群では再発率が有意に低く(0 vs 22.4 %,p=0.0363),有症状期間が短かった(6.2vs13.6 day, p=0. 0217).【結論】HBOは症候期間を短縮し,再発を予防することによってCDIに有益な効果をもたらす可能性が示唆された.