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Original Research Articles
Volume 8 Issue 1 Pages 30-38

Prevalence of Double Incontinence and Lower Urinary Tract Symptoms in Patients with Fecal Incontinence: A Single-center Observational Study
(便失禁患者におけるダブルインコンチネンスと下部尿路症状の頻度と特徴:単施設観察研究)

和訳版Abstract 便失禁(FI)と尿失禁(UI)を合併したダブルインコンチネンス(DI)は,加齢とともに増加し,どちらか一方だけの失禁よりも生活の質への影響が大きい.本研究ではFI患者を対象にUIを含めた下部尿路症状(LUTS)を調査し,FI患者におけるDIの有病率と特徴について検討した.2012年9月から2014年2月の間に初診したFI患者を対象に,便失禁スコア(CCFIS),国際前立腺症状スコア(IPSS),同QOLスコア(IPSS-QOL),および過活動膀胱症状スコア(OABSS)を聴取した.全140例(女性96例(平均70.7歳),男性44例(平均74.4歳))のFI患者のうち78例(55.7%)がDIであった.DIは男性よりも女性に多かった(63.5% vs. 38.6%,p=0.006).腹圧性UIの頻度は性別や年齢で差はなかったが,切迫性尿失禁の頻度は男女ともに高齢群(70歳以上)で高かった.IPSSの平均値は女性よりも男性で高かった(12.0 vs. 7.5,p=0.003).女性ではIPSSとCCFISの間に正の相関が認められたが(r=0.256,p=0.012),男性では認められなかった.以上より,FI患者のLUTSやUIの特徴は男女ともに一般人口と同等であったが,FI患者におけるDIの有病率は一般人口よりもはるかに高いことが示唆された.