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Review Article
Volume 9 Issue 1 Pages 1-9

Diagnosis and Treatment of Low Anterior Resection Syndrome

和訳版Abstract 直腸切除後の排便障害は、診断基準や定義が確立していないため、手術の必然的な合併症として長い間見過ごされてきた。しかし近年、直腸切除後に発生し、QOLを損なう排便障害をLARS(low anterior resection syndrome)と呼ぶようになった。Emmertsenらによって考案されたLARSスコアは、直腸手術後の腸機能障害の重症度をLARSの主症状をスコア化することで評価する患者報告式の指標であり、LARSの診断と評価を容易にし、国際的な比較と検証を可能にしている。他の評価指標との比較から、LARSスコアの使用は直腸切除後の患者のLARSスクリーニングに国際的に強く推奨されている。最近の知見により、LARSの病因には、neorectumや肛門括約筋の機能、ストマ、自律神経障害、放射線治療など複数の病態生理学的変化が関与していることが明らかになった。直腸切除において、今後はLARSの予防と治療を考慮した治療計画を立てる必要があるだろう。