和訳版Abstract | 大腸癌が隣接臓器に浸潤することは少なくないが,結腸相互での浸潤,ましてや穿通して瘻孔を形成することはまれである。今回,横行結腸に結腸結腸瘻を形成した盲腸癌の一例を経験したので報告する。症例は,69歳女性。下痢と右下腹部腫瘤を主訴に前医を受診,内視鏡検査にて盲腸および横行結腸の多発大腸癌と診断され,当院を受診した。当院で行ったCTで多発癌ではなく,盲腸癌の横行結腸浸潤と術前診断した。腹腔鏡下手術でen blocに切除した。切除標本では,盲腸に径6.0 cm × 4.5 cmの中分化腺癌があり,横行結腸と交通する瘻孔を認めた。Stage IIIC(T4b, N1, M0)盲腸癌と診断した。結腸に複数の腫瘍を認めた場合,多発癌の可能性に加えて,原発腫瘍が隣接臓器に浸潤している可能性や瘻孔形成の可能性も考慮する必要がある。また,浸潤部を破壊して癌を露出させることによる播種のリスクを回避するためにも,浸潤部に不必要なtensionがかからないように気を付けながら,切除することが重要である。 |
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