和訳版Abstract | 目的:T1大腸癌において、pure well-differentiated adenocarcinoma(PWDA)はリンパ節転移(LNM)および再発に関して安全因子となる可能性がある。本研究では、PWDAの臨床的病理学的解析および内視鏡的特徴を検討した。 方法:当院で切除されたT1大腸癌316例を対象に、PWDA、LNM、再発、および臨床病理学的因子を解析した。PWDAは高分化型腺癌のみからなる病変と定義し、2名の病理医が評価の一致率を確認した。また、PWDAおよびリンパ管侵襲の観察者間・観察者内一致性も評価し、PWDAの内視鏡的特徴も検討した。 結果:LNM、再発、PWDAの割合はそれぞれ9.5%、3.2%、31.0%であった。LNMの有無で年齢(61.3歳 vs. 65.8歳, p<0.05)およびPWDA(0% vs. 34.4%, p<0.01)に有意差を認めた。再発の有無では年齢、静脈侵襲、PWDAにおいて有意差があり、リンパ管侵襲の有無でもPWDAに有意差を認めた(p<0.05)。また、内視鏡所見では発赤、不整な表面、病変辺縁の伸展不良、緊満感がPWDAと有意な関連性を認めた。 結論:PWDAはT1大腸癌におけるLNMおよび再発の抑制を予測する有用な安全因子である可能性が示された。 |
---|