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Case Report
Volume 2 Issue 2 Pages 66-69

Successful repair of a rectovaginal fistula caused by a tension-free vaginal mesh (TVM): a case report
(Tension-free vaginal mesh(TVM)による直腸膣瘻の外科治療に成功した1例)

和訳版Abstract Tension-free vaginal mesh(TVM)による有害事象の報告は増加しているが、直腸膣瘻の頻度は少なく、これまで海外でも治療成功例は報告されていない。我々はTVMによる直腸膣瘻の治療成功例を経験したので、そのkey techniqueと共に症例を報告する。症例は78歳の女性で、3か月前に他院で直腸瘤に対してTVMを施行され、2か月前よりの肛門出血にて当院に紹介された。直腸膣中隔部のメッシュの触知とともに、膣と直腸へのメッシュの突出が内視鏡で観察され、造影ではメッシュによる直腸膣瘻が確認された。全身麻酔下で、砕石位で手術を行った。メッシュは直腸膣中隔を剥離して摘出したが、前方の脚は直腸膣中隔経由で可及的に深部で切断した。後脚は直腸内に指を挿入しながらメッシュの走行を確認しつつ、肛門側方の切開創より可及的に深部で切離した。剥離部の直腸膣中隔を洗浄後、直腸壁と膣壁は直行する方向に層々で閉鎖してドレーンを直腸膣中隔に挿入し、S状結腸にcovering stomaを造設した。術後経過は良好で感染も認めず、術後2か月後の造影では直腸膣瘻も治癒していた。その後ストーマ閉鎖も行い、術後15か月後再発も認めていない。