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Case Report
Volume 2 Issue 3 Pages 110-114

A Rare Complication After Laparoscopic Lateral Lymph Node Dissection for Rectal Cancer: Two Case Reports of Internal Hernia Below the Superior Vesical Artery
(腹腔鏡下側方郭清術後の稀な合併症:膀胱下腹筋膜欠損孔をヘルニア門とする内ヘルニアの2例)

和訳版Abstract 【緒言】
進行下部直腸癌に対する標準治療として側方郭清が施行されるが、近年腹腔鏡手術の普及に伴い腹腔鏡下側方郭清術(Lap-LLND)が施行されるようになった.
これに伴い開腹手術では生じなかった、Lap-LLND関連合併症の増加を認める可能性があり、周知する必要がある。腹腔鏡手術は開腹手術と比べ術後の腹腔内癒着が少なく、内ヘルニア発症のリスクが高いとされているが、Lap-LLND施行後に、温存した上膀胱動脈の背側の膀胱下腹筋膜欠損部をヘルニア門とする内ヘルニア(Lateral pelvic internal hernia:LPIH)を2症例経験し、腹腔鏡手術特異かつ稀な合併症と考えられたため報告する。

【症例】
症例1:68歳男性。Lap-LLND後4か月。心窩部痛を主訴に発症翌日に緊急手術が施行された。
症例2:59歳男性。Lap-LLND後2か月。一週間前からの嘔気と腹痛を主訴に入院となり、同日緊急手術が施行された。
両症例とも上膀胱動脈の背側に位置する膀胱下腹筋膜欠損部をヘルニア門とするLPIHを認め、嵌頓腸管が高度に鬱血していたため、小腸部分切除術が施行された。

【考察】
LPIHの診断には造影CTが有用で、今回の2症例では上膀胱動脈尾側直下の小腸がcaliber changeの所見を呈していた。癒着性イレウスとの鑑別が必要となるが、このような症例を認めた場合、手術を考慮する必要がある。

【結語】
Lap-LLND後の稀な合併症としてLPIHを念頭に置く必要があると考えられた。