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Practice Guidelines
Volume 2 Issue 3 Pages 103-109

Japanese Practice Guidelines for Anal Disorders II. Anal fistula

和訳版Abstract 痔瘻は肛門括約筋間に存在する肛門腺の感染から肛門周囲膿瘍として発症する.有病率は欧米では100,000人あたり21人と報告されており,男性は女性よりも2~6倍多く,30~40歳代に好発する.肛門周囲膿瘍の症状は肛門周囲における突然の痛みを伴う腫脹,発赤,発熱である.痔瘻の症状は持続的な膿の排出や間欠的な肛門周囲の腫脹や圧痛である.診断には視診・触診・指診・肛門鏡検査の他に,超音波検査,CT,MRI検査,瘻孔造影,注腸造影が有用である.痔瘻の分類として欧米ではParks分類が広く用いられるが,本邦では隅越分類が用いられる.切開とドレナージの位置や大きさは,膿瘍の病型や占拠範囲によるが,肛門括約筋を損傷しないように注意する.痔瘻は乳児以外は自然治癒が稀なため完治には手術が必要である.手術方法には開放術式,肛門括約筋温存手術,seton法などがあり,根治性と機能を考慮した手術を選択する.術後再発率や便失禁の出現率は諸家によりばらつきが大きい.痔瘻術後に便失禁が出現することがあるが,本邦では比較的まれである.