| 和訳版Abstract | 虫垂由来の胚細胞型カルチノイド(WHO 2019 分類では goblet cell adenocarcinoma: GCA)は、Stage IV 症例における外科切除の意義が明確でない。症例は 44 歳女性。卵巣腫瘍の診断で左付属器切除を受け、成熟嚢胞性奇形腫に加えて卵巣間質内に GCA が認められたため、虫垂原発 GCA の卵巣転移と診断された。追加精査で直腸 S 状結腸部への浸潤または転移が疑われたが、根治切除可能と判断し、腹腔鏡下手術を施行した。術中所見では直腸転移および大網への腹膜播種を認め、大腸全摘を伴うハルトマン手術、右付属器切除および大網切除を行った。病理学的には Grade 1 の虫垂 GCA であり、右卵巣・直腸 S 状結腸・腹膜への転移を認めたが、R0 切除が達成された。術後補助化学療法を施行し、術後 33 か月無再発生存中である。本症例は、卵巣腫瘍診断における病理学的評価の重要性に加え、Stage IV GCA においても積極的な外科切除が長期生存に寄与しうる可能性を示唆する。 |
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