| 和訳版Abstract | 孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)は、間葉系由来のまれな紡錘形細胞腫瘍であり、多くは胸膜に発生する。近年、NAB2-STAT6遺伝子融合の発見により、胸膜外発生例における診断精度が向上している。今回、左側腹部痛を主訴とする50歳女性に発見された空腸間膜原発SFTの1例を報告する。造影CTで左腹部に46 mm大の不均一な腫瘤を認め、腹腔鏡下手術によりTreitz靭帯から約50 cm肛門側の空腸間膜に有茎性腫瘤を確認し、空腸15 cmを含めて切除した。腫瘍は55×45×30 mm大で、腸管壁への浸潤は認めなかった。組織学的には膠原線維性間質内に紡錘形細胞の増生を認め、免疫染色ではSTAT6核陽性、CD34陽性、c-kit・DOG1・Desmin・S-100陰性であり、SFTと診断した。術後、腹痛は完全に消失した。間膜原発SFTは極めてまれであり、正確な診断と治療には腫瘍の完全切除および免疫組織学的評価が重要である。 |
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