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Review Article
Volume 2 Issue 4 Pages 115-121

Evolution of surgery for rectal cancer: Transanal total mesorectal excision~new standard or fad?~

和訳版Abstract 経肛門的全直腸間膜切除術 (TaTME)は、通常の腹腔鏡やロボット手術における骨盤内操作の困難性を克服する手技として、近年急速に普及している。本レビューでは、TaTMEの現状と今後について、これまでの文献をまとめ検討した。TaTMEにより完全なTMEがなされた標本の割合は全体の85-97.1%で、CRM陽性率は1.5-8.1%、肛門側断端陽性率は0-3.2%であった。開腹移行率 (0- 5%)、術中合併症率 (5- 6%)、術後合併症率 (Clavien-Dindo I-II: 22-24%,III-IV: 10-11%)は、いずれも通常の腹腔鏡手術やロボット手術と同等であった。TaTMEで最も注意すべき尿道損傷の報告数は少なく、これは報告自体がなされていない可能性も考えられた。TaTMEは特に狭骨盤の男性、もしくは腫瘍径が大きい肥満体型の症例に対して有益である可能性がある。現在、TaTMEと通常の腹腔鏡手術を比較した二つのRCTが進行中であり、結果が待たれる。TaTMEを行う際には、慎重な症例選択と指導者の下で適切なトレーニングを積むことが強く推奨される。