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Original Research Articles
Volume 2 Issue 4 Pages 145-154

Anorectal cancer surveillance in Crohn's disease
(クローン病における直腸肛門部癌のサーベイランスについて)

和訳版Abstract 【目的】クローン病(以下CD)に合併した大腸癌の特徴のひとつは下部直腸肛門部に好発することである.CDにおける下部直腸肛門部の生検施行例を検討し,癌サーベイランスとしての意義と問題点を考察した.【対象・方法】10年以上の罹病期間を有するCD症例のうち,下部直腸肛門部の組織検査を行った116例(延べ287回)を対象とした.【結果】116例中18例(15.5%)に癌が検出された.癌症例の臨床病理学的特徴としては,若年発癌で,CDの病悩期間は長期であり,腫瘍の肉眼型は3・4・5型が多く,組織学的所見として低分化腺癌や粘液癌の頻度が高かった.18例の癌症例を,癌症状の有無で2群に分けて比較検討すると,症状がなく発見できたA群5例では症状で発見されたB群と比べ早い段階で診断されており,予後は良好であった.次に,全116例のうち症状によって癌を発見した13例を除く103例をサーベイランス対象症例として検討すると,癌・異型細胞の検出率は5.8%(6例)であった.【結語】今回の検討からCDにおける下部直腸肛門部癌のサーベイランスとしての経肛門的組織検査の有用性が示唆された.