和訳版Abstract | 【目的】便失禁の機序として近年直腸肛門重積(RAI)との関連性が示唆されている。本研究では便失禁患者におけるRAIの頻度を検討した。 【方法】排便造影、肛門内圧、経肛門超音波、便失禁スコアが評価された74名の患者を対象とした。排便造影で直腸重積の先進部が肛門管上縁/内に達した場合をRAIと診断し、その患者因子を分析した。 【結果】男女比は15:59で、年齢中央値は74歳(52-93)であった。72名(97%)で内肛門括約筋の損傷はなく、71名(96%)で外肛門括約筋の損傷を認めなかった。外括約筋が完全に離断された患者も認められなかった。60名(81%)で直腸重積が認められ、56名(76%)にRAIを認めた。排便困難がなく便失禁のみであった32名のうち72%(23/32)でRAIを認め、便失禁と排便困難が併存した42名のうち79%(33/42)でRAIを認めた。RAIの頻度は肛門内圧異常の有無と有意な関連はなかった。 【結論】RAIは便失禁患者で高頻度に認められた。RAIは形態異常であり、便失禁患者の精査には排便造影が必要である。 |
---|