Microanatomy of inferior mesenteric artery sheath in colorectal cancer surgery
（左側大腸癌手術に必要な下腸間膜動脈血管鞘構造の解剖学的検討）

https://doi.org/10.23922/jarc.2019-016

和訳版Abstract	背景：左側大腸癌手術に対して行われる左結腸動脈温存D3郭清(low tie with LND)の際に露出される下腸間膜動脈(IMA)周囲の血管鞘（IMA sheath）を詳細に検討した報告は無く、low tie with LND時にIMA sheathをどのように扱うべきかのコンセンサスは得られていない。目的：IMA sheathの構造を、リンパ節およびリンパ管に注目して病理学的に検討する。方法： 2017年4月から2018年4月までの間で、当科でIMA根部結紮によるリンパ節郭清を行ったS状結腸・直腸癌症例の手術標本を使用し、sheath付きのIMAを切離端から左結腸動脈分岐部まで分離し、HE染色、D2-40免疫染色で病理学的に検討した。「IMA外膜表面」から「IMA周囲神経線維の最外層とそれらをつなぐcollagenous fiberの間」をIMA sheathと定義した。結果：20症例のIMA sheathを検討した。我々の定義ですべての症例においてIMA sheathを観察可能であった。IMA sheath内にリンパ節は認められず、リンパ管は平均11.08 ±3.35本認められた。IMA外膜から最近接しているリンパ管までの距離は平均73.55 ± 23.43 μmであった。結論：IMA sheathにはリンパ節が含まれず、low tie with LNDに妥当性を与える一方、IMA sheath内に多数認めるリンパ管はIMA自体に近接しており、IMAを温存してすべてのリンパ管を取り除くのは技術的に困難であると考えられた。

和訳版Abstract

背景：左側大腸癌手術に対して行われる左結腸動脈温存D3郭清(low tie with LND)の際に露出される下腸間膜動脈(IMA)周囲の血管鞘（IMA sheath）を詳細に検討した報告は無く、low tie with LND時にIMA sheathをどのように扱うべきかのコンセンサスは得られていない。目的：IMA sheathの構造を、リンパ節およびリンパ管に注目して病理学的に検討する。方法： 2017年4月から2018年4月までの間で、当科でIMA根部結紮によるリンパ節郭清を行ったS状結腸・直腸癌症例の手術標本を使用し、sheath付きのIMAを切離端から左結腸動脈分岐部まで分離し、HE染色、D2-40免疫染色で病理学的に検討した。「IMA外膜表面」から「IMA周囲神経線維の最外層とそれらをつなぐcollagenous fiberの間」をIMA sheathと定義した。結果：20症例のIMA sheathを検討した。我々の定義ですべての症例においてIMA sheathを観察可能であった。IMA sheath内にリンパ節は認められず、リンパ管は平均11.08 ±3.35本認められた。IMA外膜から最近接しているリンパ管までの距離は平均73.55 ± 23.43 μmであった。結論：IMA sheathにはリンパ節が含まれず、low tie with LNDに妥当性を与える一方、IMA sheath内に多数認めるリンパ管はIMA自体に近接しており、IMAを温存してすべてのリンパ管を取り除くのは技術的に困難であると考えられた。

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Microanatomy of inferior mesenteric artery sheath in colorectal cancer surgery（左側大腸癌手術に必要な下腸間膜動脈血管鞘構造の解剖学的検討）

Microanatomy of inferior mesenteric artery sheath in colorectal cancer surgery
（左側大腸癌手術に必要な下腸間膜動脈血管鞘構造の解剖学的検討）