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Case Report
Volume 4 Issue 1 Pages 41-46

Transanal Total Mesorectal Excision (Ta-TME) in a Rectal Cancer Patient with a History of Abdominal Surgery: A Case Report

和訳版Abstract 患者は65歳の男性。1年前に閉塞性大腸癌に対してハルトマン手術を施行し、経過観察中であった。血便精査で下部消化管内視鏡検査を行ったところ、直腸癌(Rb type2 20mm cT2 cN0 cM0 cStageⅠ)と診断された。既往歴にハルトマン手術を含む複数の腹部手術歴があり、骨盤内の高度癒着が予想されたため、手術の安全性と根治性を考慮し、経肛門的直腸間膜切除術(Ta-TME)を行った。手術時間は3時間で、出血は少量であった。病理組織学的所見では(Rb type2 20mm pT1b pN0 pM0 pStageⅠ)で癌の遺残はなく、術後経過良好で第7病日に退院した。直腸癌は結腸癌と比較して局所再発率が高く、直腸間膜切除(TME)による直腸周囲切除断端(CRM)の確保が重要であるが、肥満、巨大腫瘍、狭骨盤、前立腺肥大など骨盤内操作が困難な症例ではCRMを確保することは困難である。複数の腹部手術既往がある症例も同様で、この問題を解決する術式として、Ta-TMEが期待されている。Ta-TMEは、本症例のようにハルトマン手術を含む複数の腹部手術既往のある直腸癌手術において非常に有用な手技であった。