和訳版Abstract | 【はじめに】直腸癌手術において、遊離癌細胞遺残による吻合部再発を危惧し、肛門側腸管切離前に腸管洗浄を施行することの有効とする報告が散見される一方、S状結腸癌手術においてはその検討はほとんどなく、クリニカルクエスチョンの一つである。 【方法】当院にて原発巣切除、DST再建を施行したS状結腸癌16例ならびに直腸癌24例の計40連続症例で腸管洗浄液の細胞診を行った。洗浄前・生食500ml洗浄後・1000ml洗浄後にそれぞれ検体を採取した。Papanicolaou分類にてClass IV-Vを悪性と分類した。 【結果】洗浄前に遊離悪性細胞を認めた症例割合は直腸で62.5%、S状結腸で6.2%であった(p<0.001)。悪性細胞を認めた症例は有意にDistal marginが短く、Distal marginの長さは腫瘍占居部位と有意に相関していた。1000ml洗浄後、S状結腸では1例も遊離悪性細胞を認めなかったのに対し、直腸では5例(20.8%)に残存していた。 【結語】Distal marginの長いS状結腸癌手術では直腸と異なり、腸管切離前に念のため1000mlで腸管洗浄すれば十分であることが示唆された。 |
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