Botulinum Toxin Injection for Analgesic Effect after Hemorrhoidectomy: A Randomized Control Trial

https://doi.org/10.23922/jarc.2020-027

和訳版Abstract	目的: 痔核は外科診療において一般的な病気であるが、外科治療を必要とする患者はわずかである。患者の最大の不安は術後の疼痛である。本研究は、痔核切除術後の疼痛緩和のため肛門括約筋間ボツリヌス毒素注射の有効性と安全性を評価することを目的とした。方法: 全体で90名の患者が登録され、44名がボツリヌス毒素注入群にランダム割付された。痔核の術前のグレードは、III度が37名、II度が2名であった。ボツリヌス毒素（BTX）を30単位含む溶液を肛門括約筋間に注入し、術後の鎮痛剤使用、入院期間、合併症ならびに視覚的アナログ尺度（VAS）による疼痛スコアを収集し検討した。結果: VASは術後12時間と24時間の時点で対照群よりもBTX群の方が低かった。12時間後のVASは、対照群が6.232 ± 2.307に対し、4.435 ± 2.149（P < 0.001）、24時間後では、対照群が3.744 ± 2.361に対し、2.205 ± 2.079（P = 0.003）であった。排便時の疼痛が無い状態になるのに要した期間は、対照群が3日間、BTX群が2日（P = 0.007）と、BTX群の方が短かった。２群間において早期または晩期合併症に差を認めなかった。結論: 痔核切除術後は、疼痛の軽減のために多様な対策が必要である。ボツリヌス毒素は、術後疼痛の軽減にある程度の有用性が見られた。

和訳版Abstract

目的: 痔核は外科診療において一般的な病気であるが、外科治療を必要とする患者はわずかである。患者の最大の不安は術後の疼痛である。本研究は、痔核切除術後の疼痛緩和のため肛門括約筋間ボツリヌス毒素注射の有効性と安全性を評価することを目的とした。
方法: 全体で90名の患者が登録され、44名がボツリヌス毒素注入群にランダム割付された。痔核の術前のグレードは、III度が37名、II度が2名であった。ボツリヌス毒素（BTX）を30単位含む溶液を肛門括約筋間に注入し、術後の鎮痛剤使用、入院期間、合併症ならびに視覚的アナログ尺度（VAS）による疼痛スコアを収集し検討した。
結果: VASは術後12時間と24時間の時点で対照群よりもBTX群の方が低かった。12時間後のVASは、対照群が6.232 ± 2.307に対し、4.435 ± 2.149（P < 0.001）、24時間後では、対照群が3.744 ± 2.361に対し、2.205 ± 2.079（P = 0.003）であった。排便時の疼痛が無い状態になるのに要した期間は、対照群が3日間、BTX群が2日（P = 0.007）と、BTX群の方が短かった。２群間において早期または晩期合併症に差を認めなかった。
結論: 痔核切除術後は、疼痛の軽減のために多様な対策が必要である。ボツリヌス毒素は、術後疼痛の軽減にある程度の有用性が見られた。

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