J-STAGEでJARCを見る
検索(複数の項目で絞り込みが可能です)

 リセット(戻る)

Clinical Research
Volume 5 Issue 4 Pages 426-432

Safety Prediction of Infants Born to Mothers with Crohn's Disease Treated with Biological Agents in the Late Gestation Period
(妊娠後期まで生物学的製剤が投与されたクローン病患者の出産と児における安全性)

和訳版Abstract 目的:クローン病患者(CD)の妊娠後期までの生物学的製剤投与について統一された認識がない。本研究では、妊娠後期までインフリキシマブ(IFX)が、また妊娠中にウステキヌマブ(UST)が投与されたCDの経過と、母体?新生児間の薬剤分布を検討した。

方法:2017年1月から2019年12月までに出産したCDのうち、IFXかUSTが投与された症例を集積し、周産期の状況と児の発達成長を6ヶ月間調査した。薬剤濃度を母体、臍帯血、生後6ヶ月児で測定した。

結果:対象となったのは、IFXが妊娠後期(平均31.2週)まで投与された4例と、USTが23週まで投与された1例のCDで、全例が正期出産し、合併症や先天異常はなかった。児に成長発達障害、易感染性はみられなかった。妊娠30週以降までIFXが投与されたCDの児2例で生後6ヶ月時にIFXが検出された(それぞれ0.94、0.24 pg/ml)。USTの母体、臍帯血中濃度は267.7、756.5ng/mlであった。またUSTは生後6ヶ月児からは検出されなかった。

結語:妊娠中のCDに対するUSTおよびIFXの投与は妊娠後期でも安全と考えられた。母体?新生児間の薬物動態についての理解は、CD合併妊娠の管理を改善すると思われる。