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Practice Guidelines
Volume 1 Issue 3 Pages 89-99

Japanese Practice Guidelines for Anal Disorders I. Hemorrhoids

和訳版Abstract 痔核の病因は肛門クッションの減弱と内肛門括約筋のスパズムである.発症には排便習慣と生活習慣がリスク因子となるが,遺伝的素因については明らかでない.有病率は4~55%と調査方法により異なるが,男女差はなく45~65歳が多い.主な症状は出血,疼痛,脱出,腫脹,掻痒感,粘液漏出である.診断は詳細な病歴の聴取と肛門診察で十分である.内痔核のGoligher分類は治療法の選択に有用である.薬物療法は出血・疼痛・腫脹に有効である.結紮切除術はIII度,IV度の内外痔核,ゴム輪結紮法はIII度の内痔核に有効である.5%フェノールアーモンドオイルはIII度の内痔核,硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸はII,III度,IV度の内痔核に有効である.PPHはIII度の内痔核に有効であるが,長期経過の再発率が高い.分離結紮法はIII度,IV度の内外痔核に有効であるが,局所除痛薬を必要とする.血栓性外痔核と嵌頓痔核は保存的治療が基本であるが,症例によっては急性期の外科的切除を考慮する.電気メス,超音波メス,Vessel sealing systemなどの器具は手術時間の短縮,出血量の減少,術後疼痛の減少,社会復帰期間の短縮などの利点があるが,コスト高となる.