和訳版Abstract | 目的:腫瘍部位で減少する微生物叢と遠位大腸癌の転移との関連を調べた。 方法:28例の遠位大腸癌患者を対象とし、16S rRNAアンプリコンシーケンス解析を用いて、微生物叢の相対存在量(RA)を評価した。免疫組織化学的にInvasive frontにおける腫瘍浸潤リンパ球(TIL)および腫瘍関連マクロファージ(TAM)の密度を評価した。 結果:正常粘膜ではPhocaeicola属が最も多く、腫瘍組織におけるPhocaeicolaのRAは、有意差はないが正常粘膜におけるRAよりも低い傾向であった(p=0.0732)。腫瘍部位におけるPhocaeicolaのRAは、リンパ節転移(p<0.05)や遠隔転移(p<0.001)のある患者では有意に低下し、CD3(+)またはCD8(+)TILの密度と正の相関を示した。Phocaeicolaの中で最も多かったP.vulgatus(47%)については、統計学的に有意ではなかったが同様の傾向を示した。 結論:Phocaeicola属の相対的減少は、遠位大腸癌の局所的な抗腫瘍免疫応答を減弱させ、転移を促進する可能性がある。 |
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