和訳版Abstract | 目的:手術を要する大腸憩室穿孔患者の予後は不良であるが,これらに対するPolymyxin B-immobilized fiber column direct hemoperfusion (PMX-DHP)の有効性は確立されていない。本研究では,外科的治療を受けた大腸憩室穿孔患者の予後因子と,PMX-DHPの有効性について検討した。 方法:2018年4月から2023年5月に当院で緊急手術を受けた大腸穿孔患者116例のうち,大腸憩室穿孔患者46例を後方視的に検討した。術前因子,手術因子,術後因子を生存群と死亡群で比較し,重症例におけるPMX-DHPの有効性を評価するためにサブグループ解析を行った。 結果:術後死亡は7例(15.2%)で,PMX-DHPは14例(30.4%)に施行された。PMX-DHPは死亡群で多く施行された(P<0.01) 。多変量解析において,抗血栓薬内服あり (HR,16.600; 95%CI,1.32-209; P<0.05) ,乳酸高値(?3.0mmol/L) (HR,42.300; 95%CI,2.69-667; P<0.01) が術後死亡の独立した予後因子だった。PMX-DHPは全身状態不良例に多く施行されていたが,予後改善効果を示さなかった。 結論:大腸憩室穿孔患者において,術前の抗血栓薬内服と乳酸高値(?3.0mmol/L)が独立予後因子であった。PMX-DHPは予後改善効果が乏しい可能性が示唆された。 |
---|