和訳版Abstract | 背景 固形がんにおける包括的ゲノムプロファイリング(CGP)の有効性を評価した研究はいくつかあるが,リアルワールドデータを用いた転移性大腸がん(mCRC)におけるCGPの有効性および長期成績は示されていない。 方法 本研究は,埼玉医科大学総合医療センターでCGPを受けたすべての固形がん患者を対象とした,単一施設の非比較前向き観察研究の一部である。2020年6月4日から2023年3月31日の間にmCRC患者を登録した。主要評価項目は,CGPに基づく治療を受けた患者の割合とした。 結果 43人が対象となり,6例(14.0%)がCGPに基づく治療を受けた。CGPに基づく治療を受けた患者のCGP検査からの全生存期間中央値は9.7ヵ月であった。CGPベースの治療と直前の治療の無増悪生存期間(PFS)比は0.04~2.0であり,PFS比が1.5を超えたのは14.3%(7例中1例)であった。1人の患者はペムブロリズマブに対して著効した。CGP検査前,この患者のがんは非マイクロサテライト不安定性-高に分類されていたが,CGP検査でtumor mutational burden高値(TMB-H)であった。本邦では,このサブタイプの患者は,CGP検査を行わなければペムブロリズマブの投与を受けることができない。 結論 この前向き観察研究の結果は,難治性mCRC患者におけるCGP検査の結果の概要を提供するものである。 |
---|