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Original Research Articles
Volume 8 Issue 4 Pages 348-355

Genetic Testing of Japanese Patients with Serrated Polyposis Syndrome: A Multicentric Study
(日本人の鋸歯状ポリポーシス症候群患者における遺伝学的検査)

和訳版Abstract (目的) 鋸歯状ポリポーシス症候群(SPS)は,大腸に多発する大腸鋸歯状病変を特徴とする疾患で大腸癌の発症リスクが高い。しかし,SPSの遺伝的な背景は不明である。そこで本研究は日本人SPS患者における原因遺伝子の候補を同定することを目的とした。(方法)SPS患者に多遺伝子パネル検査を実施し,候補遺伝子が検出された場合,腫瘍組織の全エクソームシークエンス検査を行った。(結果)SPS患者11名を解析したところ,喫煙歴がなく50個以上の大腸鋸歯状病変と進行大腸癌の手術歴のある40歳代女性において,BUB1 に病的バリアント(c.1543G> T p.Gly515Ter)を同定した。その患者の大腸癌組織では,APC, KRAS, TP53などに病的バリアントは認めず,塩基置換のほとんどはtransition型(C>T)であった。(結語)日本人の非喫煙者のSPS患者においてBUB1は原因遺伝子の一つである可能性がある。本知見はSPSの遺伝的な背景の理解に貢献するであろう。