和訳版Abstract | 目的:大腸穿孔緊急手術症例における術後治療成績と周術期合併症予測因子を明らかにする。 方法:大腸穿孔で緊急手術した28例を対象に,CRP/アルブミン比(CAR)を含む臨床因子や術後治療成績を調査した。術後30日以内に発症した合併症(Clavien-Dindo分類gradeII以上)の有無に分けて,調査項目との関連を後方視的に検討した。 結果:年齢中央値(範囲)は69.5(46.0-93.0)歳,男性13例(46.4%),女性15例(53.6%)だった。術後合併症は18例(64.3%)に認め,腹腔内膿瘍が最も多かった。術後合併症の危険因子は多変量解析で術前CAR高値(p=0.017)だった。ROC曲線で術前CARのcut-off値は4.9と設定され,術前CAR?4.9の高値群では術前CAR<4.9の低値群よりも,全合併症割合(p=0.016)および在院死亡割合(p=0.049)が有意に高かった。さらに,術後3日目にCARの改善を認めなかった症例では,腹腔内膿瘍の発生割合が有意に高かった(p=0.049)。 結論:術前CARが周術期合併症や死亡の予測因子となる可能性が示唆された。また,術後3日目のCAR高値は術後腹腔内膿瘍形成の予測因子となる可能性が示唆された。 |
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