和訳版Abstract | 目的:下部直腸癌患者において,側方スキップ転移,すなわち間膜リンパ節転移陰性で側方リンパ節転移のみを有する例がみられる。本研究は直腸癌スキップ転移の長期予後の検討を目的とした。 方法:自施設において2000~2019年に直腸間膜全切除(TME)と側方リンパ節郭清(LLND)を行ったStage I-IIIの下部直腸癌患者を対象とし,リンパ節転移の局在と無再発生存(RFS),全生存(OS)との関連を検討した。 結果:対象371例のうち,183例(49%)はリンパ節転移陰性(MLN-LLN-),115例(31%)は間膜転移陽性(MLN+LLN-),18例(5%)は側方転移陽性(MLN-LLN+;スキップ転移),55例(15%)は間膜側方ともに転移陽性(MLN+LLN+)であった。各群の5年RFSは79.9%,60.0%,68.3%,32.7%,5年OSは96.6%,90.0%,85.6%,57.3%であった。多変量解析ではMLN+LLN+とスキップ転移の間で予後に差がみられた(RFS;ハザード比(HR) 2.30,p値0.048,OS;HR 3.50,p値0.030)。 結語:TME+LLNDを受けた下部直腸癌患者において,スキップ転移はMLN+LLN+よりもRFSとOSが良好であった。 |
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