和訳版Abstract | 【目的】大腸癌腹膜播種症例において、腹水細胞診陽性(Cy+)例は陰性(Cy-)例に比べ予後不良であるが、Cy+症例に対するR0切除手術が妥当であるかは不明である。今回我々は、腹膜播種を原発巣とともに一期的に肉眼的治癒切除した症例でCy+が予後規定因子になるか検討した。 【対象と方法】2004年7月から2019年12月の間に、腹膜播種を有する大腸癌に対しR0切除手術を行い、かつ腹水細胞診を行った症例を対象とし、長期成績を後方視的に検討した。 【結果】対象症例は72例で、Cy+21例、Cy-51例であった。患者背景因子に有意差はなく、5年全生存率(OS)は両群間で有意差を認めなかった (48.2% vs. 45.5%, p = 0.92)。3年無再発生存率(RFS)は有意差を認めなかったが、Cy+群でやや不良であった (25.5% vs. 38%, p = 0.17)。OSおよびRFSにおいて、Cy+は独立した危険因子とはならなかった。 【考察】大腸癌腹膜播種症例において、Cy+であっても腹膜播種巣を含む肉眼的治癒切除が得られればCy-例と同等のOSが期待できるため、一期的切除を検討する価値がある。 |
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