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Original Research Articles
Volume 9 Issue 1 Pages 88-94

Effects of Diverting Stoma Creation in Minimally Invasive Surgery for Rectal Cancer

和訳版Abstract 【目的】直腸癌手術において、diverting stoma (DS)は重篤な縫合不全を防ぐ目的で造設することが増えているが、その明確な基準がないのが現状である。本研究で、縫合不全のrisk factorに基づいたDS造設の有効性を検討した。
【方法】当科で2010年1月から2021年4月までに、直腸癌に対し腹腔鏡下もしくはロボット支援下低位前方切除術を行った症例を対象とした。縫合不全症例と非縫合不全症例に分類し、単変量解析および多変量解析を用い、後方視的に術後縫合不全のrisk factorとなりうる因子を検討した。
【結果】対象症例は143例で、うち縫合不全を発症した症例は30例であった。内訳は無症候性(Grade A)が19例、保存的治療(Grade B)が11例で、手術治療(Grade C)は認めなかった。縫合不全の有無に関しては、術前Glasgow prognostic score(GPS)≧1と肛門側腸管切離時の自動縫合器の使用本数において有意差を認めた(p=0.046, p=0.003)。多変量解析においては、術前GPS≧1のみ有意差を認めた(p=0.033,odds ratio: 4.225,95%CI: 1.122-15.905)。
【結語】DS造設は縫合不全に対する再手術を予防するのに有効である。術前GPS≧1はDS造設を伴った低位前方切除術における縫合不全のrisk factorであり、術前GPSの上昇した症例においてはDS造設を検討すべきである。