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Case Report
Volume 9 Issue 1 Pages 156-161

Rare Case of Gut-associated Lymphoid Tissue Carcinoma in the Sigmoid Colon of a Very Elderly Patient: A Case Report(Gut-associated lymphoid tissue carcinomaの病理組織像を呈した超高齢者S状結腸癌の1例)

和訳版Abstract Gut-associated lymphoid tissue (GALT) は粘膜下に局在し, 腫瘍浸潤リンパ球内に胚中心形成を伴う顕著なリンパ球浸潤を特徴とする。このたびGALT carcinomaの病理組織像を呈した超高齢者大腸癌症例を報告する。症例は90歳の女性, 便秘の精査での下部消化管内視鏡検査でS状結腸に不整に隆起した腫瘍を認めた。根治手術としてD3郭清を伴う腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した。病理組織学的検査では, 一部筋層への浸潤があるも粘膜下層を主体に高分化腺癌の増殖を認めた。リンパ球が腫瘍腺管を取り囲むように圧排性に増殖する像も認めた。免疫組織化学的検査ではミスマッチ修復蛋白であるMLH1とPMS2の発現が消失していた。B細胞(CD20およびCD79a陽性)はリンパ濾胞内およびその周囲に分布し, T細胞(CD3陽性)はリンパ濾胞間に分布していた。本論文では, 大腸癌におけるGALT carcinomaといった稀な病理組織像を提示するとともに, 高齢者大腸癌の診療において本疾患を念頭に置くことの重要性を強調するものである。