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Original Research Articles
Volume 9 Issue 2 Pages 244-251

Prevalence and Characteristics of Transsphincteric Anal Fistulas Unclassifiable by the Sumikoshi Classification: A Single-center Retrospective Study
(隅越分類で分類困難なtranssphincteric fistulaの有病率と臨床的特徴)

和訳版Abstract 海外では痔瘻の分類にParks分類が広く用いられているが,国内では隅越分類が主流である.しかし隅越分類にはtranssphincteric fistulasのカテゴリーがないため,外肛門括約筋の下1/3を通過するlow transsphincteric fistulaは便宜的に低位筋間痔瘻(IIL型)に分類されている.一方,外肛門括約筋の上2/3を通過するhigh transsphincteric fistulaは隅越分類では適切に分類できない.そこでhigh transsphincteric fistulaを新たにII-transsphincteric(II-T)型と定義し,当院で痔瘻根治術を受けた患者の診療録を見直してII-T型の有病率と臨床的特徴を調べた.対象とした1,069例のうち895例(83.7%)がII型であった.そのうちIIL型が771例(86.1%)と最多で,IIT型は54例(6.0%)であった.原発口の方向はIIT型以外のII型では後方(62.2%)が多かったが,IIT型では前外側(55.6%)が多かった.IIT型の患者は他のII型の患者よりも括約筋温存手術を受ける割合が高かった(37.0% vs 3.7%,p<0.001).隅越分類のII型に新たな亜分類としてIIT型を加えることは,痔瘻の診断・治療において有益と考えられた.