和訳版Abstract | 症例は78歳の女性。腫瘍下縁が歯状線まで達する下部直腸癌に対して、術前放射線化学療法(CRT)を施行した。腫瘍は縮小し臨床的完全奏功(cCR)と判定され、患者の希望によりWatch and Waitの方針となった。21か月後、肛門周囲皮膚に掻痒を伴う紅斑が出現し、生検で続発性肛門周囲Paget病と診断された。原発巣はcCRを維持していたため肛門温存可能と判断し、局所切除を施行し、病理組織学的に切除断端陰性を得た。局所切除後4年が経過しているが、局所再発および遠隔転移を認めていない。 本症例は、術前CRTにより原発巣は完全に消失したものの、放射線照射範囲外に初診時から存在した微小Paget病変がWatch and Wait中に顕在化したと考えられる。今後、下部直腸癌に対するTotal neoadjuvant therapy (TNT)が普及するに従いWatch and Waitの頻度が増加することが予想される。経過観察中は、直腸粘膜だけでなく肛門周囲皮膚の観察も必要である。 |
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