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Original Research Articles
Volume 4 Issue 2 Pages 59-66

Prognostic Impact of the Length of the Distal Resection Margin in Rectosigmoid Cancer: An Analysis of the JSCCR Database between 1995 and 2004
(直腸S状部癌の肛門側腸管切除長が長期予後におよぼす影響
―全国大腸癌登録1995-2004年データより―)

和訳版Abstract 【背景】直腸S状部(以下RS)癌の肛門側腸管傍リンパ節の範囲に関して,大腸癌取扱い規約(以下、規約)第6版までは,腫瘍辺縁から6cmを領域リンパ節と規定していたが、規約第7版では3cmまでと改訂された.【目的】RS癌の肛門側切除腸管長(以下,l-DRM)を3cmとすることの妥当性を明らかにする.【対象と方法】全国大腸癌登録データベース(1995-2004年治療例)に登録されたRS癌6,236例からcT3-4 1,443例を抽出し後方視的に解析した. l-DRMを1cmごとに群分けし、Cox比例ハザードモデルで全生存率(OS)に影響を及ぼす因子を調整因子とした調整HRとAICからl-DRMのcutoff値を求め,傾向スコア法によりcutoff値未満群と以上群のOSを比較した。【結果】cutoff値としてl-DRM4cmが抽出された(調整HR1.37 95%CI1.00-1.84,p=0.0452)。傾向スコア法によるl-DRM4cm未満群/以上群(いずれもn=402)の5y-OS(%)はそれぞれ80.3/87.6(%)(HR 1.6 95%CI1.09-2.31,p=0.0136)であった。【結語】本研究結果から,cT3-4のRS癌に対する至適DRM長として4cmが抽出され,規約第7版の3cmでは不十分であることが示唆された.必要十分なDRM長を明らかにするためには再発情報も含めた大規模な前向き研究が必要である.