日本大腸肛門病学会会員の先生方
平素より大変お世話になっております。
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)で作成している“クローン病 初診時/診断時 肛門病変チェックシート”につきまして、先生方からパブリックコメントを賜りたく存じます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
クローン病 初診時/診断時 肛門病変チェックシート(案)
回答期日: 2025年3月31日(月)
回答方法: アンケートフォーム
背景
近年の新規治療薬の登場に伴い、炎症性腸疾患の治療法は著しく進歩しました。
一方で、本邦の多くのクローン病患者さんに合併する痔瘻をはじめとする肛門病変に対する治療は遅れていると言わざるをえません。肛門病変は患者さんのQOLを低下させ、クローン病の経過に影響する病変で、診療上の大きな課題と考えられます。
この課題に対応すべく、厚生労働雅楽研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)で現在、“クローン病肛門病変マネージメント検討プロジェクト”が進行中です。
プロジェクトの目的
クローン病症例の診療は多くの場合、内科医を中心に行われていると考えられます。
内科医にとって肛門部の診察は難しく、肛門病変の診断、評価が行われにくい状況です。
また、外科医、肛門科医でも肛門病変の診断、評価も十分にできているかは不明で、肛門病変の評価基準や標準的治療といえるものもありません。
今後、クローン病の肛門病変をどのように診断し、何をもってどのように評価するのかは的確な治療法を確立し、患者さんのQOLを向上するために必須と考えられます。
本プロジェクトの目標は内科医、外科医、肛門科医が共通認識をもってクローン病の肛門病変を診断、評価できることを目指し、最終的なエビデンスに基づいた標準的治療法を確立することです。
現在進行中の作業
上記のような診療の現況をふまえ、まず、内科医、外科医、肛門科医が同じ目線で症例ごとの肛門病変を診療(診断、評価)することが、基本であり、かつ最も重要な課題と考え、“クローン病 初診時/診断時 肛門病変チェックシート”を作成中です。
本シートは、医師が記入する病変の評価部分、一般医向けの簡単な本シート作成時に必要な肛門病変を解説した部分、患者さんへのアンケート調査票の三部からなっております。
医師記入部分は各科で共同して、症例の肛門病変を診療するためのツールで、それぞれの科で診療した内容を追記して、診療内容を共有しながら運用することを想定しています。
患者さんへのアンケート調査票は診察前に患者さんに記入していただくことで、肛門病変の拾い上げと症状と日常生活への影響を把握する目的で作成しています。
完成後には厚労省班会議ホームページに掲載し、電子カルテ取り込み、あるいは紙ベースなど各ご施設での状況にあわせて運用していただけるように公開する予定です。
パブリックコメントのお願い
本シートは広くクローン病を診療している先生方に使用していただくことが重要です。使用開始後も問題点に対応し、使用していただけるよう改訂を行ってゆく予定です。
つきましては、まず、本年度版としての公開を前に本診断シート案につき、貴学会を通じ、広くパブリックコメントをいただけないかと考えております。
貴学会には多くの肛門科医、外科医、内科医が参加されており、会員の多くの先生方がクローン病の肛門病変を診療されていると拝察いたします。
先生方からのご意見を反映させていいただければ、よりブラッシュアップされ、実際に使っていただけるシートの完成が期待できるかと存じます。
本チェックシートにつき、お気づきの点につきまして、どのような点でも結構ですので忌憚のないコメントをいただけますと幸いです。何卒、よろしくお願いいたします。
2025年2月吉日
厚生労働科研費 難治性疾患政策研究事業
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究
研究代表者 久松理一
プロジェクトリーダー 小金井一隆
(横浜市立市民病院炎症性腸疾患科)