一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学会概要

倫理指針

最終更新日: December 01, 2023

「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」制定に対する本学会の対応について

はじめに

 2015年4月より「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省)が施行されたことに対応するために、日本大腸肛門病学会(以下本学会)では、「日本大腸肛門病学会 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下倫理指針)」を2017年8月に制定致しました。なお、2021年3月より「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。令和5年3月一部改正)が、前倫理指針を改訂する形で制定されたことに対応するため、本学会でも2023年1月より前倫理指針を改訂する形で「日本大腸肛門病学会 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(以下倫理指針)」を制定いたしました。さらに、2022年4月に個人情報保護法が改訂されたことに対応するため、2023年8月に一部改訂を行いました。
 本学会の学術集会や地方会等での発表および学会誌への論文投稿は、症例報告などを除き、倫理審査委員会での審査と、それに基づく所属機関の長の許可を得ていることが必須になっております。会員の皆様におかれましては、倫理指針を遵守いただくとともに、学術集会および地方会の会長等が示す演題の応募要項や、学術誌の論文投稿規程の遵守をお願い致します。
 自機関に倫理審査委員会がない場合は、機関内に倫理審査委員会を設置されるか、関連の大学病院や医師会等の倫理審査制度を利用して、倫理審査が受けられる体制を整備されるようお願いいたします。なお倫理審査委員会を設置することが難しい小規模機関に所属する会員への救済措置として、迅速審査の適用となる著しい利益相反関係のない観察研究については、本学会に設置された倫理審査委員会に審査を委託できるようになっています。
 倫理指針の概要と臨床研究のカテゴリー分類、さらに学会発表や論文投稿の際に必要となる手続きについて以下に解説します。また、本学会に設置される倫理審査委員会について、倫理審査を委託できる条件や必要となる手続きについて説明いたします。

日本大腸肛門病学会 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針

本学会の倫理指針について

1.倫理指針制定の趣旨

 本学会の倫理指針は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が定める「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づいて制定されました。なお、倫理指針の前文でも明記しましたが、学会員は人を対象とする生命科学・医学系研究を行い、学術集会等での発表や論文投稿を行う際には本指針を遵守するとともに、所属機関の倫理指針に従って適切に行動する義務があります。その際には、研究対象者の尊厳と人権を損なうことがないよう留意する必要があります。但し、倫理指針は学会員の自由な研究活動を制限するためのものではなく、あくまで研究者が研究対象者の福利を最優先にして、倫理的に幅広い研究活動を行うための規範にしていただくようお願いいたします。

2 .倫理指針の概要

 倫理指針は、生命科学・医学系研究をその内容から「侵襲を伴う研究」、「介入研究」、「観察研究」、「症例報告」などに分類しています。倫理指針では、それぞれの研究の定義を明記するとともに、各研究に対する本学会の倫理指針について記載してあります。なお、倫理審査や研究対象者からの同意が不要な研究についても、具体的に示しています。最後に、「生命科学・医学系研究における補償(臨床研究保険について)」についても記載してありますので参考にしてください。

3.カテゴリー分類と必要な手続き

 倫理指針には、「学会発表・論文投稿における倫理指針のカテゴリー分類(図1)」および「倫理指針から見た研究の種類と必要な手続き(図2)」を付記しました。カテゴリー分類では、臨床研究をその内容からカテゴリーA、B1、B2、C、D1、D2 および E に分類し、それぞれに該当する臨床研究の内容と、カテゴリーごとに、倫理審査の必要性や同意取得の方法、公開データベースへの登録の必要性などについて明記しています。学会員の方々は、自身の研究がいずれのカテゴリー分類に該当するのか、「倫理指針のカテゴリーを判断するためのフローチャート(図3)」を用いて確認することができます。

図1「学会発表・論文投稿における倫理指針のカテゴリー分類
図2「倫理指針から見た研究の種類と必要な手続き」 
図3「倫理指針のカテゴリーを判断するためのフローチャート」 

 カテゴリー分類のカテゴリーC、D1、D2 に含まれる介入研究は、倫理審査および患者もしくは代諾者からの文書同意とともに、研究の実施に先立って公開データベースへの登録が必要になります。とくにカテゴリーD1 および D2 の研究は臨床研究法の対象となります。カテゴリーD1の研究は臨床研究法の遵守努力義務、D2の研究は特定臨床研究と定義され臨床研究法の遵守義務の対象となり、認定臨床研究審査委員会での審査と厚生労働大臣への届出が必要です。
 同意取得の方法のなかで、オプトアウトという言葉がでてきます。オプトアウトとは、すべての研究対象者からの同意取得が実質的に困難な場合に、当該研究についての情報を、当該機関の掲示板やホームページ上で公開し、研究対象者が研究への参加を拒否する機会を与えることを保障するものです。同時に拒否の意思表示を受け付ける窓口(連絡先)を明示する必要があります。倫理指針のカテゴリー分類のB1に該当する研究では、オプトアウトの利用が可能な場合があります。
 症例報告は、倫理審査や機関の長の許可、研究対象者からの同意が不要な研究に該当し、倫理指針では9例以下の成績をまとめた研究が該当します。しかし、9例以下の症例報告でも、研究性がある場合や、比較対象症例を加えれば10例を超える場合は、症例報告とはみなされないことに注意する必要があります。また、症例報告を行う際には、「症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバ シー保護に関する指針」を遵守し、研究対象者が特定されないよう注意が必要です。

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