一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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Q&A

最終更新日: October 22, 2019

日本大腸肛門病学会医学系研究の利益相反に関する指針Q&A

Ⅰ.指針策定の目的に関するQ&A

Q1.利益相反の管理は本来,研究者が所属する施設で行うものと理解していましたが,日本大腸肛門病学会が管理する利益相反とはどのようなことを意味するのですか?(本指針Ⅰ~Ⅲに関連)
A1.会員の多くは所属施設で医学系研究を実施し,得られた成果を学術集会で発表します.研究の実施と発表という2つのステップのそれぞれにおいて,所属施設だけでなく,日本大腸肛門病学会にも利益相反を開示することが求められると考えて下さい.
 所属施設に対しては,当該医学系研究に携わる研究者全員が実施計画書と同時に利益相反自己申告書を施設長へ提出し,当該施設において利益相反マネージメントを受けることが勧められております(文部科学省・医学系研究の倫理と利益相反に関する検討班「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」).
 一方,日本大腸肛門病学会が打ち出した今回の「医学系研究の利益相反に関する指針」(以下,本指針)は,日本大腸肛門病学会として行うすべての事業に関して,これを行う日本大腸肛門病学会関係者の利益相反状態を自己申告によって開示させ,これにより日本大腸肛門病学会関係者の社会的・倫理的立場を守ることを目的としております.
 すなわち,日本大腸肛門病学会では,医学系研究に関する発表演題,論文については,発表者は,その題目に関連した利益相反状態を,自己申告により開示することが求められます.また,役員,会長,副会長や指針で定められた委員会(編集委員会,健康保険検討委員会,倫理問題検討委員会,ガイドライン委員会,利益相反委員会および倫理審査委員会)の委員は利益相反状態の日本大腸肛門病学会に対する開示を義務づけられます.

Q2.本指針と補則を守れば,法的責任は回避できますか?
A2.本指針や,その補則は,あくまでも日本大腸肛門病学会の自浄を目的として制定するものであり,この指針などにしたがったからと言って,法的責任を問われないものではありません.また,申告内容の真偽,申告外の利益取得,申告書の保管期限経過後に発生した問題などにおいても,法的責任を問われる可能性はあります.一般に言えることですが,学会の指針や規則・補則には,その上位にある「法令」の適用を回避させる効力のないことをご承知下さい.

Ⅱ.対象者に関するQ&A

Q3.配偶者や一親等以内の親族,収入・財産を共有する者の利益相反状態まで報告するように定めていますが,これらの人が開示を拒んだら,どうしたらいいのですか?(本指針Ⅱ,Ⅳに関連)
A3.配偶者などの利益相反状態が,申告者の利益相反状態に強く影響することは一般に理解されているところです.ベンチャー企業の立ち上げや運営において親族が関わる場合も実際にあります.発表者や論文の著者には,配偶者などの利益相反状態の開示を求めません.しかし,日本大腸肛門病学会役員などには,これらを含めた開示が求められます.配偶者の利益相反状態を申告していなかったことで,申告者が社会的に制裁を受けることを避けることが目的です.申告者が自身を守るために必要なことと考え,配偶者などを説得して下さい.日本大腸肛門病学会は配偶者などに対して,直接には何もいう立場にありません.しかし,配偶者などの利益相反状態が深刻な結果,社会的・法的問題が生じたときに,これらを自己申告されていなかった当該申告者を,日本大腸肛門病学会としては,残念ながら社会の批判から守ることができません.また,日本大腸肛門病学会は当該申告者を指針違反者として扱い,本指針で定められた措置をとらざるを得ません.

Q4.会員以外の者が日本大腸肛門病学会で発表する場合も,利益相反状態を開示しなければならないのですか?
A4.日本大腸肛門病学会の学術集会や機関誌で発表する場合は,研究の成果を日本大腸肛門病学会で発表するということになるので,会員以外であっても利益相反状態を開示していただく必要があります.学術集会の会長または編集委員長から依頼して開示をしていただきます.

Ⅲ.対象となる活動に関するQ&A

Q5.学術集会発表,論文投稿,市民公開講座以外に対象となる日本大腸肛門病学会の事業とはなんですか?
A5.日本大腸肛門病学会が関わるすべての事業における活動に対して本指針が適用されます(本指針Ⅲ).利益相反状態の開示が必要とならない場合でも,対象者は利益相反状態の回避をしなければなりません(本指針Ⅴ).
 日本医師会や厚生労働省などへ建議を行うこと,これらからの諮問に答えること,優秀な業績の表彰を行うこと,および,診療ガイドラインの作成なども学会の事業に含まれます.これらは学会名で行うことですが,建議書や答申書を作成する,表彰業績の選択をする,あるいは,診療ガイドラインの作成を行うのは,理事や委員個人ですので,これらの者が本指針Ⅵ 2)に該当する場合は,利益相反状態の開示が必要となります.

Ⅳ.開示・公開すべき事項に関するQ&A

Q6.開示と公開はどう違いますか?
A6.本指針において,開示は日本大腸肛門病学会に対して行うものと考えています.公開は日本大腸肛門病学会に関係しない外部の人々や,社会一般の人々に対して明らかにするものと考えています.自己申告された内容のどの範囲を開示として扱い,どこまで公開するかは,対象者および対象事業によって異なります.
 日本大腸肛門病学会での発表や,日本大腸肛門病学会雑誌への投稿においては,その自己申告範囲は,当該発表および論文に関連した企業・団体と発表者・投稿者との間の関係に限られます.また,申告行為自体は開示という解釈です.
 日本大腸肛門病学会役員等についてはより詳細な利益相反状態の自己申告が要求されます.また,日本大腸肛門病学会役員などについては,一親等内の親族および収入・財産を共有する者についても利益相反状態を申告することになっております.この自己申告は日本大腸肛門病学会に対して開示されるものでありますが,基本的に社会的・法的な要請があった場合には,公開されることを宣誓した上で提出していただきます.自己申告された内容を,実際にすべて公開することは,個人情報保護法の観点から許されるべきこととは考えておりません.社会的・法的に公開が求められた場合には,利益相反委員会で議論し,理事会が公開するべき範囲を決定して,これを公開することになります.

Q7.私は本職として企業に勤務し,役員をしておりますが,申告が必要でしょうか?(本指針Ⅳ-①に関連)
A7.抗癌剤や医療器具を開発・販売している企業に勤められており,その中で役員・顧問職としての収入がある場合は,その報酬額を申告いただくことになります.製薬会社でも,日本大腸肛門病学会に関連するがん治療薬や抗生物質などの診療に関わる薬剤を開発・販売されていない会社であれば,たとえ役員・顧問職としての収入があったとしても,申告は要りません.

Q8.株の保有やその他の報酬は,医学系研究に関連した企業・団体に限らないのですか?(本指針Ⅳ-②,⑦に関連)
A8.学術集会発表者や論文投稿者については,当該医学系研究に関連する企業・団体のものに限定されます.日本大腸肛門病学会役員などについては,日本大腸肛門病学会が行う事業に関連する企業・団体に限定して自己申告していただくことになります.

Q9.私はある医療器具に関する特許権を1000万円で企業に譲渡しました.これは特許権使用料には当たらないと解釈して,申告しなくてよいのでしょうか.(本指針Ⅳ-③に関連)
A9.特許権の譲渡については,本指針Ⅳ-③の該当項目として申告して下さい.

Q10.私は製薬会社の株を20万円分持っています.また,先日,製薬会社の主催する研究会で講演して7万円の講演料をもらいました.これらを,すべて自己申告しなければいけませんか?また,収入がある度に自己申告しなければなりませんか?(本指針Ⅳ-②,④に関連)
A10.具体的な申告の時期と申告方法,限度額は対象活動や対象者により異なり,補則に定めております.申告時期については,学術集会発表者は発表時,論文著者は論文投稿時です.日本大腸肛門病学会役員などは就任時と,その後1年に1回の自己申告が必要で,対象期間はそれぞれの直近の暦年なので,確定申告書の記載を参考に申告をすることができます.株式は1年間の利益が100万円以上(株式の場合は利益ですから,配当が100万円以上であったり,転売利益が100万円以上の場合で,100万円分の株式を保有しているだけではこれに該当しません.),講演料は1企業につき年間50万円以上などの取り決めが補則に定められております.

Q11.私は製薬会社と関連のない出版社からの原稿料が100万円を超えますが,申告が必要でしょうか?(本指針Ⅳ-⑤に関連)
A11.原稿料で申告しなければならないのは,原稿料の支出元が発表と関連し(学術集会発表,論文投稿の場合)または日本
大腸肛門病学会の行う事業と関連する(役員などの場合)製薬会社や医療器具メーカーなどである場合です.原稿料が出版社から支出された形であっても,実際は製薬会社などがスポンサーであるような出版物の場合は,支出元は製薬会社であると解釈されるので,申告する必要があります.

Q12.ある医療器具メーカーから,私の勤める市民病院に奨学寄付金100万円の入金があり,研究担当者名は私になっています.実際には,市民病院全体の研究費として公平に使用しています.このような奨学寄付金も私の利益相反状態として開示すべきでしょうか?(本指針Ⅳ-⑦に関連)
A12.奨学寄付金であっても,本指針Ⅳの⑥にあたると解釈して,1企業から年間100万円以上である場合は,研究担当者名である先生の利益相反状態として申告して下さい.ただし補則にあるように,学術集会発表,論文投稿では,奨学寄付金を納入した企業・団体と関係のない演題・論文であれば,開示対象となりません.日本大腸肛門病学会役員などの,より詳細な利益相反状態の開示を求められる立場の方は,日本大腸肛門病学会が行う事業に関連するものすべてが自己申告の対象となります.

Q13.私の所属機関の取り決めでは,企業からの奨学寄付金や治験の入金額の10%を事務経費として経理が差し引きます.このため,企業から300万円の奨学寄付金をもらっても,研究者が使えるのは270万円だけです.この場合は,申告する額を270万円にしてもよろしいでしょうか?(本指針Ⅳ-⑥,⑦,様式3に関連)
A13.申告額は所属機関の事務経費を控除した額でなく,企業から入金された全額を記載して下さい.したがって,この例の場合の申告額は300万円となります.

Q14.「研究とは直接関係のない,その他の報酬」を申告するように義務づけられていますが,製薬会社が提供するテレビ番組のクイズで海外旅行が当たっても申告するのですか?(本指針Ⅳ-⑨に関連)
A14.クイズや抽選で当たったものは景品であって報酬ではありません.申告が義務づけられているのは「報酬」であり,「報酬」とはなんらかの労力に対する見返りとして支払われるものです.したがって,景品は申告対象ではありません.本指針Ⅳの⑨に当たる例としては,ある医師が特定の薬をよく処方することから,その薬を販売する企業が謝礼の意味でUSBフラッシュメモリーを医師に渡すことなどが該当します.御中元や御歳暮,接待なども該当する場合があると思われます.極端な場合は贈賄行為となり刑事罰の対象であり,本指針で扱うものではありません.本指針Ⅳ①~⑧には該当しないものの,利益相反状態となる可能性のあるものを拾い上げるために⑨を設けております.補則に1つの企業・団体から受けた報酬が5万円以上を申告することとしております.

Ⅴ.利益相反状態の回避に関するQ&A

Q15.寄付講座の多くは企業の寄付資金によって運営されておりますが,寄付講座の教授や職員に対しても利益相反状態の回避の「すべての対象者が回避すべきこと」を適用するのですか?
A15.寄付講座は深刻な利益相反状態が生じる危険が高いので,本指針が適用されます.

Q16.利益相反状態の回避について「当該医学系研究を計画・実行する上で必要不可欠の人材であり,かつ当該医学系研究が国際的にも極めて重要な意義をもつような場合には,当該医学系研究の試験責任医師に就任することは可能とする.」という例外規定を設けることは,本指針の理念を弱めることになりませんか?
A16.本指針の目指すところは,研究者に利益相反状態があることを否定することではなく,また,利益相反状態が強い研究者に対して医学系研究を抑制することでもありません.社会にとって有意義で,重要な医学系研究を行う研究者ほど,利益相反状態が強くなることも事実です.上記のような例外規定を設けることで,有能な研究者が医学系研究に関わる道を開くことが大切と考えております.米国臨床腫瘍学会(ASCO)の利益相反ポリシーにも同様の例外規定があります.一方,この例外規定に相当する研究者が試験責任医師に就任するために,第三者による審査が必要であるとの意見もあります.
 ただし,日本大腸肛門病学会は,日本大腸肛門病学会で行われる事業について利益相反問題を管理する立場にありますが,個々の施設・研究所で行われる医学系研究を管轄することは権限の範囲を越えております.本指針では日本大腸肛門病学会の管轄外で行われる問題については,日本大腸肛門病学会としての立場を示すにとどめております.

Q17.「医学系研究の試験責任者が回避すべきこと」によると特許料・特許権の獲得を回避するべき,とあります.しかし,プロトコールに含まれないが極めて有益な成果(企業の権利外の成果)が得られた場合や,医師が自主的に実施する医学系研究において知的財産権が生じた場合も,これらを放棄しなければならないのですか?
A17.企業の権利外の成果であれ,知的財産権であれ,これらを得ることと,試験責任者の立場で公正に当該医学系研究を監督することとは両立しがたいものと理解されます.そのような利益を得ること自体を問題にしているのではなく,そのような利益を得た者が医学系研究の試験責任者になることを問題視しています.試験責任者に就任しないことで,この問題は回避できますし、指針Ⅴ 2)ただし書きの例外もあります.

Q18.私は,10病院が参加する医学系研究の中で協力する私立病院の部長で,この医学系研究で私の病院における責任医師になってもらいたいと言われています.しかし,私はこの医学系研究で使う薬を製造販売する会社の理事でもあり,年に500万円の報酬をもらっています.私は,この医学系研究で,私の病院の責任医師にはなってはいけませんか?
A18.多施設医学系研究における各施設の責任医師は,本指針Vには該当しないので,この部長が当該施設における責任医師になることを否定するものではありません.ただし,当該施設の利益相反委員会や倫理委員会などが,この外科部長について,本臨床試験の責任医師となることが適当ではないと判断されるなら,その決定が優先されると,考えております.

Ⅵ.実施方法に関するQ&A

Q19.日本大腸肛門病学会でブタを使った医療機器に関する演題を発表したいのですが,今回の指針にしたがって,利益相反状態を開示しなければいけませんか?
A19.今回の指針は「医学系研究」の指針なので,培養細胞や動物実験のみを用いた研究についての発表では,現在のところ開示は不要です.ただし,利益相反は「医学系研究」に限らず,あらゆる研究に生じるものなので,将来,研究対象が広げられる可能性はあります.

Q20.日本大腸肛門病学会以外の学会で発表するときも,同じような利益相反状態の開示が必要でしょうか?
A20.他学会での発表での利益相反状態の開示については,それぞれの学会で定められることで,本指針が関与するところではありません.

Ⅶ.施行日および改正方法に関するQ&A

Q21.本指針は平成24年1月1日より施行するとありますが,この日以降に指針違反があればただちに措置を受けるのですか?(本指針Ⅶ,附則に関連)
A21.施行日は平成24年1月1日ですが,十分周知されるまで2年間は措置を行わず,本人に対する注意・勧告にとどめます.また,その事例については,日本大腸肛門病学会雑誌や日本大腸肛門病学会ホームページにて匿名で紹介し,本指針の周知に努めます.実際の措置の施行は平成26年1月以降に発生の事例について予定しております.

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