一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学術集会・セミナー

[抄録]treat to target に基づいたクローン病薬物療法の最適化

最終更新日: February 20, 2025

第34回日本大腸肛門病学会教育セミナー

Ⅰ.内科・放射線科・病理科・その他(Ⅰ)
  テーマ: 炎症性腸疾患(IBD)診療の最前線

2.treat to target に基づいたクローン病薬物療法の最適化
  
渡辺憲治先生(富山大学炎症性腸疾患内科)

 炎症性腸疾患(IBD)の診療は,新規薬剤の登場のみならず,画像診断やbiomarker によるモニタリングなど種々の進歩によって,予後が大きく向上した.その患者数は増加を続け,最新の班会議の検討ではクローン病(CD)の国内患者数は9.5 万人に達したとされている.潰瘍性大腸炎ほどではないが,クローン病も新規の分子標的薬(advanced therapy:AT)の開発は続いており,病態からも潰瘍性大腸炎よりCD の方がAT の必要性が高い疾患といえる.しかし,それらの有効率は概ね50~70%程度で,どの薬剤を選択したとしても,その有効性と安全性のモニタリング,評価は必須である.特にクローン病の場合は,大腸のみならず,小腸や肛門病変を中心とした全消化管が罹患範囲として対象であり,腸管外合併症や直腸肛門部領域の癌サーベイランスも視野に入れた診療を要する.こうした観点から近年,治療目標を設定し,客観的なモニタリング,評価を行いながら治療を最適化し,予後向上を図るtreat to target (T2T)strategy による診療が普及している.本教育セミナーでは演者がプロジェクトリーダーを務めている厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)のクローン病治療指針で近年作成されたT2T に基づくフローチャートを紹介しつつ,近年国内承認されたAT を含め,概要を述べさせていただく.

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